世の中にいい冗談と悪い冗談があるなら

100パーセント悪い冗談だと思う。


転校先の学院。

隣のクラスに吸血鬼がいた。


だいたいね、人の首から血を吸うなんて今時エレガントじゃないの──

常識でしょ? みたいな表情で、今日も彼女は言うだろう。

知り合ってからというもの、すべてが彼女のペース。

俺が求めていた生活は、もっとこう……

なんてぼやいてみても後の祭り。

平穏無事な学院生活は、すでに消えてしまった。


それでも、なぜか胸が高鳴ってしまうのは。

こんな毎日は、修智館学院以外のどこにもないと

心のどこかで確信できているからかもしれない。










ピピピピピ・・・・・・

んー、眠いな。

カーテンの隙間から朝の日差しが部屋の中にラインを描き出す。

とりあえず、時間、時間・・・と。

あれ?

掴んだ形に違和感があった。

俺の目覚まし時計ではない。

ああ・・・・そうか、昨日は陽菜の部屋に来て、それから・・・

と、胸の奥がどくん、と鳴った。

昨夜は陽菜の誘惑と魅力にことごとく打ちのめされた。

夜が更けてもお互いに抱きしめあい、そして繋がった。

何時だったかなど、覚えていない。

ただ快楽を求めて腰を打ち続け、乳房をまさぐり、何度もキスをした。

陽菜も俺に奉仕しようと夢中で俺のペニスを咥え続けた。

マーキングするように、何度もお互いの精液を塗りつけた。

そして、そのまま深い眠りに・・・・

しかし、辺りを見回すといつもの陽菜の部屋に戻っていた。

振り返るとそこに陽菜の姿はなく、テーブルに置かれた朝食が既に部屋を出た

あとだというのを教えてくれた。

俺に気を使って、こっそりと抜け出していったのだろう。

ついでに、部屋の掃除もして。

こういったところに、改めて陽菜のしっかりさを感じずにはいられない。

学院の、しかも学生寮。

ましてや女子フロアから2人が並んで出てきたら、一大事だ。

俺は用意された朝食を頂くと、いつものはしごを使って自分の部屋へ戻った。





今日もまた1日が始まる。

生徒会の仕事も山積みになっているだろう。

制服に替えると、部屋を出た。

・・・・・と。

扉に何か貼ってあるのが目に入った。

これはかなでさんの風紀シールじゃないか。

なんで、こんな場所に?

不思議に思いつつ、シールを剥がすと、裏面に何か書かれていた。

「安眠妨害しちゃ、ダメ!」

安眠妨害って、何だ?

頭の中をフル回転させて思考回路を巡らせる。

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・あ。

昨日の陽菜の部屋。

俺も、陽菜も思いっきり声を出してよがってたような・・・

こ、これだとさすがに・・・・マズイな。

顔の頬を、冷たい汗が流れる。

ま・・・・まあ、でもかなでさんなら、なんとかなるかも知れない。

とりあえず学院へ行こう・・・








そんな俺の背後から、ひたひたと。

ひたひたと近づく女性がいることに俺はまだ気がつかなかった。

右手には、フライパンが握られていた・・・・


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